第3回:スポーツビジネス界への道 Part I |
2005/04/11 |
日本でもここ数年、「スポーツ経営学」、「スポーツマネジメント」といった言葉が注目を浴びています。本屋に足を運べばスポーツビジネスやメジャーリーグに関する本が数多く並べられ、たくさんの情報にアクセスできるようになりました。
スポーツビジネス界へ入ろうと考えていらっしゃる日本人の方も増えているようです。ただ日本でもアメリカでも、スポーツビジネス界への志望者は需要に比べて大変多いことから、就職は非常に難しいと言われています。一般的には、空き採用や個人のネットワークを通してスポーツビジネスの世界に入るのが現状です。
そのような中、少しでもチャンスを広げるため、スポーツ経営学(スポーツマネジメント)の大学や大学院への進学したり、毎年アメリカで12月に行われるBaseball
Winter Meetingsでマイナーリーグのインターンシップを獲得している方もいます。さらには、自分で会社を立ち上げたり、自ら球団を作る方までいます。
オハイオ大学の卒業生で、現在MLBシンシナティ・レッズのGMであるDan O’Brien氏は、かつて友人数名で親と銀行からお金を借りて独立リーグの球団を購入し、数年間、自分達の手で球団を経営した経験があるようです。
『スポーツビジネス界への道』では、現在オハイオ大学MBA/MSAプログラムに在籍する学生へのインタビューを交えながら、彼らがどのようなキャリアプランを描き、そのためにこれまで何をしてきて、今後どのようにスポーツビジネス界に携わって行きたいのかなどをご紹介して行きたいと考えています。
その中で、「大学院」という選択が、スポーツビジネス界へ就職するのにどのようなメリットがあるのかという事もお伝えできればと思っています。
第一回目にご紹介するのはBrent Schoebです。Brentは、現在オハイオ大学MBA/MSAプログラムの一年生で、これまでマーケティングを専門に勉強してきました。大学卒業後すぐ同プログラムに進学してきましたが、大学在学中にインターンや、授業の合間を縫って正社員としてスポーツの現場で働いた経験があります。
◆Brent Schoeb インタビュー
― 今日はインタビューに応じてくれてありがとう。
Brent こちらこそ光栄です。
― 早速ですが、オハイオ大学入学前にどのような経験を積んできたかを聞かせてください。
Brent 僕が始めてスポーツ界で働き始めたのは、ミネソタ州St.Cloud State Universityに通っていた時です。 大学のスポーツチームを支えるため、Associate Athletic Directorのもと、チケットオフィスで働きはじめたのが始めたのが最初です。
その後、夏にSt. Cloud River Batsという大学生で構成される独立リーグでMarketingインターンとして働きました。そこでの仕事が認められてDirector of Media Relation(広報担当)という職を与えられるまでになりました。現在は、オハイオ大学のAthletic Departmentのマーケティングディレクターの下でボランティアとして働いています。
― 大学時代から積極的に働いていたのはさすがですね。Brentは将来MLBで働きたいようですが、アメリカのプロ・スポーツに就職する方法は色々とあると聞いています。これまでの経験やネットワークを活かして就職をしたり、Winter
Meetingに参加する方法もあったと思います。 色々な選択肢がある中、なぜ大学院、そしてオハイオ大学を選んだのかを教えてください。
Brent オハイオ大学の卒業生の数とネットワークの強さは、全米のスポーツ経営学、スポーツマネジメントプログラムの中で一番です。大学を卒業してすぐに就職して限られたスポーツビジネスの知識とネットワークで勝負するよりは、
オハイオ大学の質の高い授業と強いネットワークを自分のものにしたいと思いが強かったからです。スポーツ界ではネットワークからの推薦というのが非常に重要視されているのは事実だと思います。
― 実際オハイオ大学に入学してどうですか?オハイオ大学MBA/MSAプログラムのプログラムに満足していますか?
Brent 非常に満足しています。実際オハイオ大学に入ってみて一番刺激を受けるのがクラスメートの存在です。 皆、スポーツビジネスへの情熱があり、全米、全世界から多岐に渡る分野の経験豊富な学生が集まっているので非常に面白いです。
また、オハイオ大学の卒業生にE-Mailなどで僕達がふと沸いた疑問をぶつけてみると、必ずといっていいほど返信をしてくれます。
オハイオ大学に入ってこれまでで最も良かったと感じたのは、クラスメートの努力と卒業生の方々の協力によって今年から始めたCleveland ネットワークイベントです。クリーブランドキャバリアーズ対デンバーナゲッツの試合を、オハイオ大学MSAプログラムの卒業生の協力により無料で70枚以上いただいた上、
アリーナの施設見学までさせていただけました。そしてなによりも、僕達の力でクリーブランド・ブラウンズ(NFL)のCEOを呼び講演をしていただくことができたのは、
オハイオ大学のバリューが高い証明だと信じています。
― 確かにクリーブランドのネットワークイベントは良かったですね。オハイオ大学に来て良かったと僕も感じました。 さて話は少し変わりますが、何故スポーツビジネスの世界に興味を持ったのですか?
Brent 僕はスポーツとビジネスに情熱をもっています。大学時代スポーツビジネスに携わってからというもの、他の業界で働くことは全く 想像することができません。あと、カーブの曲がりがいまいちでミネソタ・ツインズからスカウトされなかったのも理由の一つかもしれません(笑)。
― このHPはスポーツ経営学/スポーツマネジメントに関心のある日本人を対象にしています。留学生に何か期待するところはありますか? またこれまで、留学生から何か学んだことはありますか?
Brent 僕は多くの事を留学生から学んでいます。例えば、僕のクラスメートの日本人は僕が持っていない野球の知識を持っています。 アメリカの野球ビジネスのみならず日本を含めた国際的な野球のビジネスを彼から学んでいますし、
彼のおかげで野球を多角的に見られるようになりました。
僕が留学生に期待するものはアメリカ人の学生と変わりがありません。 オハイオ大学MBA/MSAプログラムの学生には、常に自分の持っている能力を100%発揮して欲しいと思っていますし、
学校、プロジェクト、ネットワーキング、そして仕事に常に全力で望む事を期待しています。
― なるほど。 最後になりましたが、Brentのキャリアゴールを教えてください。
Brent MLBの球団でVP of Marketing(マーケティング担当副社長)になることです。オハイオ大学を卒業してから、MLBやNBAで経験を積んで夢を実現していくつもりです。
(2005年4月11日 K.K.)
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